Flare Community Callの要約と感想

この記事ではフレアネットワーク社が2022年4月28日に開催した、コミュニティのためのウェブミーティングに関して重要だと思われた部分の要約と、その感想を記します。今後フレア・ソングバードネットワークがどのように発展してゆくかの可能性が分かるのではないかと思います。元の動画ファイルはこちら。間違いがないようには気をつけていますが、内容が難しい部分もあり、筆者の理解が違う可能性もありますので、ご自分で正しいかどうかを確かめることをおすすめします。このページで説明のために引用されている画像は、元の動画ファイルからのものです。

要約の要約

フレアネットワークは、全ての主要なブロックチェーンを接続することで、ビットコインをはじめとしたトークンを安全・高速・統一的に他チェーンやフレア・ソングバードネットワークに移動する手段を提供するとともに、インターネット上に公開されている任意の情報を取り入れることができます。

これにより例えば、ある試験に合格したらその人たちのウォレットに好きな仮想通貨やNFTを届ける、などのようなことができるようになります。この場合、インターネット上に合格者情報(の一部)が公開されたら、その情報をフレアネットワークに取り入れ、スマートコントラクトによって、トークンが該当するウォレットに移動されます。これまでも、特定のイベントに対して特定の仮想通貨の移動は可能でしたが、フレアネットワークにより、フレアネットワーク上に存在する任意のトークン、インターネット上に存在する任意の公開情報が(おそらく簡単に)スマートコントラクトによって処理できるようになると見込まれます。

各ブロックチェーンを国にたとえると、フレアネットワークは、全ての主要国の国民が低運賃で出入りできる土地であり、その土地では低料金で情報の入手や価値の交換ができます。さらにその土地に入って留まることでインセンティブとして土地の特産物(フレアネットワークではFLRトークン)をもらえるとともに、そのトークンをノーリスクで運用することができます。この、資産をフレアネットワークに持ってきて置いておくだけで、ネイティブトークンであるFLRをもらえるというインセンティブは資産を呼び込む仕組みとして強力です。また資産移動にはFLRを一定時間ロックしなければならないということで、外から資産が入るほどFLRの需要が高まり、FLRの価格が上がれば、さらに外部から資産を呼び込むことができるという雪だるま効果が期待できます。

Community Callで新しく分かったこと

詳しくは必要に応じて後で述べます。

  • LayerCakeで他のスマートコントラクトブロックチェーンの資産をフレアネットワークに移動しても報酬が得られる。
  • 皆が参加できる低リスクなクラウドファンディングの仕組みができる。
  • LayerCakeのブリッジは非中央集権的なだけでなく、保険が掛けられ、高速である。
  • Fアセットとしてファイルコイン(FIL)が加わる。

フレアが作ろうとしているもの

基本要素としてFTSO(Flare Time Series Oracle)とステートコネクタがあります。FTSOは、XRP/USDのような価格情報をで正確かつ安定的に得るための仕組み。ステートコネクタは例えば「今の東京の天気は晴れか?」など、必要になった時に外部システム(他のブロックチェーンやインターネット上の公開API)から真偽の情報を正確・安定・低コストで得るための仕組み。これらによって、より優れたブロックチェーン間のブリッジであるLayerCakeが構築されます。すなわち、今までよりも

  1. 安全・高速で、
  2. 相手のブロックチェーンの再編成(攻撃などによりチェーンの状態が巻き戻ること)にも対応でき、
  3. よりシンプルで統一的なブロックチェーン間の資産移動、

が可能になります。

ここでは、これまで他の記事には見られなかった、3.シンプルで統一的な資産移動(クロスチェーンブリッジ)について説明します。

今までのブリッジでは、異なるプロジェクトが提供するブリッジを通ると、ブリッジ元で同じだったトークンが、ブリッジ先では異なるトークンとなってしまう問題がありました。例えばイーサリアムチェーンからソラナチェーンを経由してコスモスチェーンにETHを移動した場合と、イーサリアムチェーンから直接コスモスチェーンにETHを移動した場合、元は同じETHトークンなのに、コスモスチェーンでは異なったトークンとして扱われていましまいます。

そして、例えばトップ100のスマートコントラクトチェーンを双方向ブリッジで繋ごうとすると、4950ものブリッジが必要でした。LayerCakeではフレアネットワークを介した統一的なブリッジを構築可能なので、100のチェーンに関して101のスマートコントラクトを構築すれば済みます。また、このように構築されたブリッジでは、どのチェーンから来たトークンがどのブリッジを経由しても、同一のトークンとして扱われます。つまり、トークンの流動性が分断されることはありません。

フレアネットワークで何ができるようになるか?

  • フレアネットワーク上に他のチェーンから資産を移動することで、(毎日?)FLRトークンをもらえる。
  • ビットコインを安く、早く支払える。
  • ほぼノーリスクでクラウドファンディングに参加できる。

XRPなどのスマートコントラクトを持たない資産をFアセットとして安全にフレアネットワークに移動させることができます。トークンの移動には手数料(5%以下)がかかりますが、資産を持ち込むインセンティブとして、移動させたトークンの価値に比例して毎日FLRトークンが得られます。LayerCake(レイヤーケーキ)を使ったスマートコントラクト対応のトークンのフレアネットワークへの移動でも、報酬が得られるようです(動画の49分50秒あたり)。

財団はF資産とレイヤーケーキの評価を作るためのインセンティブプールを作るために、200億(FLR)トークンを確保しているからなのです。そしてさらに、FLRは委任報酬を獲得します。そして、FLRの委任報酬であれ、Fアセットの鋳造報酬、レイヤーケーキ報酬であれ、それらの収益のすべては、フレアを構築するプロジェクトの資金として使用することができるのです。

ビットコインをFBTCとしてフレアネットワークに持ち込めば、上で書いたように毎日FLRで報酬を得ることができます。また、フレアネットワークの高速・低価格な決済機能を使用できるので、ビットコインと常に同等の価値に固定され、いつでもビットコインに戻せるFBTCで安く、早く支払いをすることが可能になります。

今回のウェブミーティングでは新しく、低リスクでクラウドファンディングに参加できる仕組みが説明されていました。有望なプロジェクトに(おそらく)ほぼノーリスクで投資できる、画期的な仕組みです。

FLRやFBTC, USDCなどをクラウドファンディング・コントラクトに預けることで、FTSO報酬や、Fアセット報酬、レイヤーケーキ報酬の報酬分をプロジェクトに投資することができます。プロジェクトは見返りとして、プロジェクトのトークンなどをコントラクトに送り、投資者はそのトークンを受け取れます。報酬分のみをプロジェクトに渡すことによって、もしプロジェクトが失敗したとしても、預けたFLR・BTCなどには何の損失もないので、非常に低リスクな投資になると考えられます。

感想

ウェブミーティングのはじめにメンバーの自己紹介がありましたが、マーケティングや助成金など、プロジェクトを外に広げることに力を入れてきているようで、安心しました。初めにイーサリアムとテラをレイヤーケーキによって接続する予定ということで、フレア上で安定したステーブルコインが使えるようになりそうなのも朗報です。

また、レイヤーケーキを使ってフレアネットワークに資産移動した場合にも報酬が得られるということで、フレアネットワークに他のチェーンからどの資産を持ってきても、フレアネットワークに置いておけばFLRで報酬が得られそうです。これは他のチェーンでは実現することが難しい画期的な仕組みだと思います。フレア/ソングバードはレイヤー1チェーンなのに、ネイティブトークンをブロックチェーンの承認者に配らず、ネットワークに直接貢献した人に広く配る仕組みになっていることで、より柔軟で効果的なトークンの分配が可能になっています。この大胆な決断が、フレアネットワークの独自性を際立たせています。フレアチームはFLR/SGBというネイティブトークンを使ったインセンティブの仕組みを非常に良く考えているようで、今後も期待できる一方で、ガバナンスにより私たちFLR/SGBホルダーが破壊的な選択をしないための何かが必要になるかもしれないと思いました。

特に、ネットワーク立ち上げの初期にはインセンティブを与える対象とその量には繊細で素早いコントロールが必要になると考えられます。フレアチームによる運営とガバナンスによる運営でどのようにバランスを取っていくのかはフレア・ソングバードの長期的繁栄を左右する重要な課題になってくると見ています。

チームはセキュリティには自信を持っているようで、おそらく2022年7月4日にはフレアネットワークは立ち上げられるか、もし遅れたとしても大きくは遅れないだろうとのことでした。SGBは価格低迷していますが、FLRもおそらくはじめに急激に上がった後で、急落すると見ています。エアドロップでトークンを広く配った場合、そのトークンの価値を知らずに受け取る人が多く出るので、大量に売られるのは仕方ないでしょう。このことから私自身はFLRを買って増やすのは、価格が落ち着いてからにしようと思います。

ソングバードネットワークでは、Sアセット(ソングバード上でのFアセット)の報酬は予定されていないそうですが、フレアネットワークのガバナンスにアメリカ議会の下院のように、SGBをステークして参加できるそうです。このことから、フレアネットワークとソングバードネットワークでは、トークンの使い方が異なってくることが推測されます。おそらくソングバードは、大きな資産が入らない代わりにフットワークが軽く、フレアネットワークは、大きな資産を入れる代わりに保守的なアプローチを取れるようなインセンティブの仕組みが用意されることになると考えられます。

参考として、Sアセットの報酬に関してフレアCEOのHugoさんが言及している箇所を引用します。(動画では2時間15分くらい。)

ソングバードでsアセットを鋳造するための報酬はあるのでしょうか?ソングバードはテストネットワークであるため、報酬を明確にしたことはありません。カナリアネットワークでは、技術がうまく機能することを確認したいので、精査・テスト中のものに対して報酬を提供するのは特にフェアだとは思っていません。ですから、答えは「ノー」です。もちろん、ガバナンスのプロセスを経て、ある時点で報酬を検討することはあります。しかし、現時点での答えは「ノー」です。現在はまだできませんが、これらの資産(Sアセット)に対する報酬は、その資産をDeFiシステムに投入することで得られるもので、それ自体が報酬なのです。

フレアチームとしては、Sアセットの報酬は考えていないが、私たちが投票できるガバナンスによって検討可能ということになります。報酬なしで誰もSアセットを鋳造しない場合にはテストも進まないので、状況によっては期間限定の報酬なども検討されることもあるのでは無いかと思っています。

Hugoさんは、将来フレアネットワークを単一のネットワークではなく、複数のネットワークからなるネットワークにしようと考えているようです。例えばEVM以外のスマートコントラクト処理機能が必要になったときは、別のネットワークを立ちあげて連携するというようなことを以前のインタビューで話していました。そのようなこともありフレアチームはカナリアネットワークであるソングバードの価値も高く評価していると私は見ています。それゆえに、今後もブロックチェーンの相互運用や、集めた流動性の活用に関する最新の技術はソングバード上でテストされてゆき、テストを通過した新たなプロトコルやアプリのうち、どれを優先的に立ち上げるかはソングバード上のガバナンスで決まるでしょう。結果としてソングバードネットワークは将来も技術的に興味深く、価値のあるものとして存在し続けていくと予想されます。

フレアネットワークに関する今後の心配事としては、開発者の呼び込みと資産の流動性があります。XRPはイーサリアムコミュニティには不人気であり、多くの人に(不当に)敵対視されるか無視されているように見えます。フレアネットワーク社はリップル社とは無関係ですが、当初XRPLに有用性をもたらすとして生まれたフレアネットワークも、イーサリアムコミュニティから歓迎されない可能性があります。フレアネットワークはイーサリアムと同じスマートコントラクトが実行されるブロックチェーンなので、イーサリアムコミュニティの優れた開発者が入って来ないと、ネットワーク上でのアプリの開発が進みにくくなる恐れがあるでしょう。そして、開発が進まないと、他のブロックチェーンから資産をフレアネットワークに呼び込むのも進まず、FLRの価値が上がらず、FLRの流動性が高まらなくなるというリスクがあります。

幸いフレアネットワーク社は、コミュニティの成長や外部からの開発者の呼び込みに関して重要性を認識しているようで、分散型金融でのプライバシーの実現を目指すパンサープロトコルや既存金融と分散型金融をつなぐアライアンスプロトコルなどとパートナーシップを結ぶだけではなく、新しくマーケティングチームを編成すると共に、開発への助成金を用意するなどの様々な手立てを講じています。

異なるブロックチェーン間の安全な資産移動(クロスチェーンブリッジ)とブロックチェーン外からの安全な情報入手(オラクル)は、現在のブロックチェーンにおける未解決の重大な問題であり、フレアネットワークは私の知る限り今のところ最良の問題解決を提供しようとしています。それは機関投資家が分散型金融を使用するために必要不可欠な技術であると私は見ており、それゆえに全体としてはフレア・ソングバードネットワークの今後に関して、とても楽しみにしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA