ExFiフレアローンの解説

この記事では、フレアローンのドキュメントを参考にして、その仕組みを解説します。元の記事はhttps://help.flr.finance/flarefinance/exfi/flareloans にあります。ちょっと複雑なのですが、重要な部分をまとめると、下のようになります。

  • SGBを担保として預けてネスト(Nest)を作り、ドルステーブルコインのCANDを1800CANDから、借りられる。
  • イーサリアムネットワーク上のステーブルコインLUSDと、ほぼ同じ仕組み。元となったプロトコルはLiquity
  • SGBを預けてCANDを得るときとCANDを返してSGBを引き出す時に手数料(0.5から5%?)がかかるが、借りている間の利息はゼロ
  • 借りたCANDをスタビリティ(安定化)プールに預けておくと、DFLRとSGBが得られる。スタビリティプールはシステムを安定に保ちつつ、清算を迅速に処理するためにある。スタビリティプールでは、集められたCANDを、精算された人の借金の肩代わりとして払い、引き換えに清算された人が担保で持っていたSGBを得られる。
  • 通常、SGBの担保額が借りているCANDの額の110%を下回ると清算され、担保は没収。この際、スタビリティプールからCANDが返済され、代わりに担保だったSGBが送られて、スタビリティプールにCANDを預けていた人たちで山分けされる。つまりスタビリティプールに預けられたCANDが減り、SGBが増える。ほとんどの場合、精算される担保のSGBはCAND価値の110%程度なので、安くSGBが手に入ってお得。
  • 通常状態で清算された人は、その時預けていた担保のSGBを全て失う。(借りていたCANDは返さなくて良い)
  • 緊急事態(リカバリーモード)の時はSGBの担保が150%を下回ると清算される可能性あり。しかしその時は、没収されるSGBの担保は110%分。
  • いつでも1CAND=1ドルでSGBに戻す(償還:Redemption)ことができる。誰かの償還は、その時最も低い担保率を持つ人(たち)の借金と担保を使い(自動的に)処理される。つまり、CAND借金とSGB担保が同額減る。それにより、その人(たち)の担保率は上がる。→勝手にCANDを返済されたくなければ担保率は他の人より高く保つ必要あり
  • 償還で得たSGBをすぐに取引所でCANDに変えることで裁定取引ができるので、1ドル未満だったCAND価格を1ドルに戻す効果がある。
  • 償還(Redemption)は返済(Repay)ではない。償還しても、ネストの借金(CAND)は減らない。
  • 全体の担保率(Total Collateral Ratio: TCR)が150%以下になると、リカバリーモードになるので、TCRに注意。
  • リカバリーモード中は、TCRを下回ったネストは清算。ネスト開設時の下限担保率は150%、ネストの担保を減らせない。ネストの負債を増やせない。借り入れ手数料は0%に設定。

リカバリーモードに注意して、担保率を高く保っておけば、利息なしでCANDを借りられます。CAND貸し出しと返却のときに手数料(通常0.5%から5%?)がかかります。このことから、担保率と貸し借りのタイミングに注意すれば、かなり便利に使えそうです。フレアローンの元のなったLiquityプロトコルは、とてもしっかりしている印象で、複数のセキュリティ監査も受けていますし、バグ報奨金制度も実施しています。LUSDのチャートはこちら。フレアローン自体は現在セキュリティ監査中ですので、リスクは高いですが、期待の持てる分散型借り入れプロトコルだと思います。

FlareLoans

FlareLoansは、SGB/WSGBを担保に無利息で融資を受けることができる、分散型の借入プロトコルです。融資はCAND(米ドルペッグのステーブルコイン)で行われ、最低でも110%の担保比率を維持する必要があります。

CAND

CAND(The Canary Dollar)は、1ドルに固定された価値を持つトークンです。この価格の安定性は、必要な担保、スタビリティ(安定)プール、償還、清算、リカバリーモードを含むプロトコルの全体的な設計によって達成されます。

ネスト(CANDローン

FlareLoansは、SGBやWSGBを担保にして、誰でも無利息で融資を受けることができます。融資は、米ドルペッグのステーブルコインであるCANDで行われます。現存するすべてのCANDはこの方法で鋳造されており、このステーブルコインはSGBによって完全に裏付けられていることになります。

担保(Collateral

SGBとWSGBはどちらも担保として使用することができます。SGBを使用した場合、SGBは自動的にラップされ、委任されるため、借り手は担保として使用されたSGBに対しても委任報酬を受け取ることができます。

担保率(Collateral Ratio

担保率とは、担保となる資産の価値を借りた資産の価値で割ったものです。CANDを鋳造し、安全にローンを維持するためには、担保率は常に110%以上である必要があります。なお、リカバリーモード(後述)の際の安全な担保率は150%です。

利息と返済期限(Interest and Repayment Date

CANDの鋳造は無利子であり、ローンには返済期限がありません。

清算準備金(Liquidation Reserve

CANDの一部は清算準備金としてロックされており、ローンの清算人となる可能性のある人のガス代を補うためのものです。

借入手数料(Borrow Fee

ローンを組む際に前払いする借入手数料は、変動制となっています。この手数料は、新規ローンと償還の比率が健全に保たれるよう、最終償還時にアルゴリズムで調整されます。(フレアローンの元となった、Liquityでは通常0.5%から5%で変動し、リカバリーモードの時は0%になります)

債務と担保の管理(Managing Debt and Collateral

借り手は、担保の価値が110%(リカバリーモードの場合は150%)を下回らない限り、以下のことが可能です。

  • 既存の担保に対してさらにCANDを増やす
  • 債務の一部を返済する(最低融資額(現在は1800ドル))まで
  • さらに担保を入れる
  • 担保の一部を取り崩す

借金の返済(Repaying debt

借りたCANDは、いつでも返済することができます。 鋳造されたCANDはバーンされ、担保は借り手に返却されます。

清算(Liquidation

担保率が110%(リカバリーモードの場合は150%)を下回るとネストは清算されます。清算された場合、ネストは閉鎖され、借り手はCANDを保持し、担保はスタビリティの供給者に分配されます。

償還(Redemption

償還は、担保比率が最も低いネストに影響します。ネストが償還されると、事実上、債務の一部が担保と引き換えに返済されることになります。しかし、これは担保率110%以上で起こることなので、影響を受ける借り手は純損失を被ることはありません。担保通貨の価格変動に対するエクスポージャーを失うだけです。担保比率の低いネストは、これにより、担保率が上がります。(償還は通常、CANDが1ドルを下回るときに、裁定取引者によって行われます。このような形で、勝手に借りたCANDを返済されたくない方は、担保率を他の人より高めておく必要があると思います。)


スタビリティプール(Stability Pool)

CANDの保有者は、自分のステーブルコインを「スタビリティプール」に預けることを選択し、「スタビリティ供給者」となることができます。スタビリティプールは、システムの支払い能力を維持するための主要なツールです。これは、清算されたネストからの負債を返済するための流動性の源であり、CANDの総供給量が常に担保によって支えられていることを保証するものです。

清算(Liquidation)

ネストが清算されると、そのネストの残債に相当する量のCANDがスタビリティプールの残高からバーンされます。これにより、ネストの債務が実質的に返済されます。

清算時の利益(Liquidation Profits)

バーンされたCANDと引き換えに、ネストの担保はすべてスタビリティプールに移されます。
したがって時間の経過とともに、スタビリティ供給者はCAND預金の比例配分を失う一方で、清算された担保(WSGB)の比例配分を得ることになります。ネストは担保率110%を下回るとすぐに清算される可能性が高いため、スタビリティ供給者はスタビリティプールでの貢献により、バーンされるCANDに比べてより大きなドル価値の担保を受け取ることが予想されます。ユーザーがネストを持っている場合、利益を引き出すと、SGBは自動的にネストの担保に送られます。

DFLR報酬(DFLR Rewards)

スタビリティ供給者には、DFLRトークンも付与されます。ローンでは、ネストの開設や償還による手数料収入を取り込むために、DFLRをステークすることができます。DFLRはまた、プラットフォーム全体でさまざまな用途があります。

空のスタビリティプール(Empty Stability Pool)

スタビリティプールが空になると、システムは既存のネストをバックアップとして使用し始めます。清算されたローンは他の債務者に吸収され、債務と担保価値の両方が増加します。これは極端なケースであり、実運用で発生する可能性は低いです。


DFLRステーキング(DFLR Staking)

DFLRの保有者は、ローンの発行やCANDの償還によって発生する手数料を得るために、トークンをステークすることができます。

償還(Redemption)

償還とは、CANDをSGBと額面通りに交換することであり、あたかも1CANDが1米ドルの価値があるかのように見えます。これにより、CANDの価格を実質的に底上げし、米ドルに近い価格にします。
ユーザーは、いつでも制限なくCANDをSGBに交換することができます。ただし、換金額に応じて換金手数料がかかる場合があります。また、償還が頻繁に行われるようになると、借入手数料(新規借入時に支払う手数料)が増加します。(借入手数料は時間によって少しずつ減少していきますが、償還が行われるたびに、増加します)

清算(Liquidations)

ネストの担保率が110%を下回った場合(リカバリーモードの際は総担保率(後述)を下回った場合)、そのローンを清算することができます。プラットフォームのユーザーは誰でもこれを行うことができ、このサービスに対してガス報酬(清算されたネストの担保の0.5%+100CAND)が支払われます。これは事実上、CANDの価格上限を作っていることになります。清算には、債務者とスタビリティプールへの供給者に影響があります。

リカバリーモード(Recovery Mode)

リカバリーモードは、システムの総担保率:Total Collateral Ratio(TCR)が150%以下になると自動的にオンになります。TCRが150%以上になるように、ユーザーに行動を促すことが目的です。

リカバリーモードで何が起こるか

担保率が総担保率を下回ったネストは清算されます。新規にネストを開設する際の担保率の下限は150%です。ネストの担保を減らすことはできません。
ネストの負債を増やすことはできません。
借入手数料は0%に設定されます。

4 COMMENTS

lattemaestro

flareloanに関する記事ありがとうございます。
償還について質問させてください。
記事中に「償還とは、CANDをSGBと額面通りに交換すること」とありますが、例えば、5000SGBを担保に2000CANDをネストした場合、清算されない限りは、2000CANDを償還すれば5000SGBが戻ってくる(手数料除く)ということでしょうか?
v1のとき、ネストしたCANDよりかなり多くのCANDが償還のために必要になりました。

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maru@blog

償還は、自分自身のCANDの借金を返済する機能ではなく、CANDが市場で1ドルを下回っているときに、誰でも手持ちのCANDを1ドル分のSGBと交換できる機能です。
借金の返済はYour Nest-> Manage Dept -> Repey dept で行います。
2000CANDをネストから借りた場合、償還(Redemption)すると、そのときの(Bitrueの)SGB/USDT価格から1CAND=1USDTとした分のSGB(-手数料)が戻ってきます。
返済(Repay)の場合、通常は2000CAND+手数料+100CAND(清算料預け金)を返せば、5000(W)SGBと清算料100CANDが返ってくると思います。(私は未確認です)
途中でリカバリーモードになって他者の借金と担保が自分のNestで増えてたり、Nestの担保率が低くて他者の償還によって自分のNestの借金(CAND)と担保(SGB)が減ってたりすると、必要返済額は変わってきます。
ここらへん、ややこしそうなので、フレアローンの使い方の記事も書く予定です。

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lattemaestro

ご丁寧な返信いただきありがとうございます。
償還とはそういうことなんですね。
v1のとき、借りたCANDよりかなり多くのCANDが償還に必要になったというのは、償還ではなく返済でした。失礼しました。
flareloan奥が深い・・・
詳しく説明いただきありがとうございました。

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maru@blog

v1のときはスタビリティプールが閉じられていたので、通常とは異なる状況になっていました。その場合、誰かが清算されると、その借金分のCANDと担保分のSGBが、ネストを持つ全員に分配されたので、いつの間にか借金が増えている(ように見える)状況でした。そのため、借金を返済するときには、借りたよりも多くのCANDを返さないと完済できなかったのですが、問題はその時CANDを手に入れる手段はフレアXでSGBと交換するしかなかったということです。結果的に、本来1ドル分のSGBで交換できるはずのCANDが2ドルを超える状況になってしまいました。そこで相対的に多くのSGBを支払ってCANDを手に入れ、それを1CAND=1ドルとして返済に充てなければならないため、多くの人が焼き🐦になってしまいました。後から運営が希望者にCANDを送ってくれるようになったので、急いで借金を返済しなかった人は、損失を抑えることができたようです。完済できた場合、CAND1ドル換算とすると、より多くの(W)SGBがウォレットに残っていたはずです。
今思うと、ユーザーインターフェースのバグを除いてはV1でもフレアローンは、ほぼ正常に稼働していましたが、仕組みを知らなかったために多くの犠牲者を出してしまったのだと思います。
ただ、もらえるDFLRも多かったので、かなりのハイリスク・ハイリターンでした。

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